伊東英子をさがせ その1
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カテゴリー:WEB, | 投稿者:おかもと | 投稿日:2012年8月10日 |

はじめに

伊東英子。「いとう ひでこ」と読むらしい。

この人のことを知ったのは、富田倫生さんによる掲示板「こもれび」への書き込みからだった。

▼伊東英子
「水野 仙子ホームページ」は、「…島崎藤村の刊行した雑誌「處女地」で執筆していた伊東英子という方の没年を教えてください!」と呼びかけています。
http://page.freett.com/Schuricht/senko.htm

ここで紹介されたリンク先のサイトには「伊東英子作品集」というページもあり、伊東英子が、島崎藤村の刊行した雑誌「處女地」(大正11-12年に刊行)に執筆していた人だとわかる。また、「伊東英子に関する既存の情報」として、以下のように書かれていた。

伊東英子に関する既存の情報
1999.6.1 更新
伊東英子については、「處女地」第10號(終刊)の付録「本誌執筆者別総目録」に記載されている
  明治二十三(1890)年一月、仙臺市光禅寺通りに生る
ということしか分っていない。※1

没年がわかれば、著作権が切れているかどうかわかる。そして著作権が切れていれば、青空文庫に収録できる。

と、いうわけで、伊東英子について追いかけてみた。

※1 一時期、「没年調査協力会」で伊東英子などの没年の調査が行われていたようだが、さしたる成果はなかった模様。

 

1. 文献調査

Googleで「伊東英子」を検索してもそれなりに出てくるのだが、まずは正統的(?)な方法から。

これまでわかっている情報は、以下の通り。

  • 「伊東英子」という名前
  • 明治23(1890)年1月生まれ
  • 雑誌「處女地」(大正11-12年)で活躍

これをもとに、以下のサイトを参考にしつつ、情報を集めてみた。

まず、「CiNii Articles」。無料で使える、論文情報データベース。「伊東英子」で検索してみたが、関係ありそうなものは出てこない。そこで、「處女地」で探してみたら、60件ほどヒットした。その中から、以下の論文に注目した。

藤村「処女地」に執筆した無名の女性達・目録
永渕 朋枝
神女大国文 (18), 82-103, 2007-03

伊東英子って、有名人じゃなさそうだから、この論文に出てきそう。「神女大国文」って雑誌に載っているらしい。どうやって入手しようかな、とググってみたら「神戸女子大学紀要全文検索」というサイトがみつかった。ラッキー。さっそく検索したら、PDF版の本文まで入手することができた。

藤村「処女地」に執筆した無名の女性たち・目録

おやおや、この論文の最初に「伊東英子」が載ってるじゃないの。ふむふむ、雑誌「赤い鳥」ね。伊東英子は童話も書いてたんだ。読売新聞の記事なら、ヨミダス歴史館というデータベースを使えば出てきそうだな。「時事新報」ってなんだろう……

実は、「赤い鳥」も「時事新報」も、Googleで検索して、たどりつくことができるのであった。

「赤い鳥」の作家たち総索引 1.作家 (広島市立中央図書館)

時事新報目録 / 池内輝雄編著. — 文芸篇大正期. — 東京 : 八木書店 , 2004.12.(Googleブックス)

もちろん、この論文を書いた永渕さんは、ちゃんと現物にあたって確認されたんだろうけど。

さらに、この論文には、「読売新聞」大8.11.17朝刊に掲載された「雑誌よんだまま」という記事が引用されている。それによると、雑誌「内外時論」の11月号に、伊東英子の「行手に暗し」という作品が掲載されているらしい。また、岩野泡鳴がこの作品の推薦文を書いているけど、永渕さんの論文の注には次のように書かれている。

(4)内外時論(大8.11)は所在不明のため未見。泡鳴の評は、岩野泡鳴全集(臨川書店 平6.10-9.7)には無い。

えーそうなの? と、ググってみたら、似てるけど別のモノが出てきた。

泡鳴全集 / 岩野美衛著. — 第12巻. — 東京 : 国民図書 , 1921.(Googleブックス)

岩野泡鳴の全集だが、発行者が違う。こちらは著作権が切れていて、全文が公開されている。ありがたや。

この巻には岩野泡鳴の日記が収録されていて、伊東英子は大正7年から大正9年の日記にしばしば登場している※1。そして、大正8年10月11日の日記には次のように書かれている。

十月十一日。晴。大泉氏よりハガキ。内外時論よりハガキ。同社の為めに伊東英子を推せんする辞を送った。

また、大正8年6月8日の日記には、こんなことが書かれている。

六月八日。晴。飯野氏、大観社へハガキ。昨日伊東英子氏の小説原稿を改造社の横関氏へ渡した。

さて、これは、雑誌「改造」をチェックしろということか。「CiNii Books」で検索したところ、『改造目次総覧』という本が見つかった。

改造目次総覧 / 横山春一編. — 総目次 ; 執筆者索引. — 東京 : 新約書房 , 1972-1974.

執筆者索引があるというので、図書館でどきどきしながらページをめくったが、伊東英子は出てこなかった。残念。伊東英子の原稿、没になったのかな。※2

 

また、「CiNii Articles」から、同じ永渕さんの論文

藤村「処女地」の執筆者–補遺、素川絹子
永渕 朋枝
神女大国文 (22), 33-48, 2011-03

をみつけて、「神戸女子大学紀要全文検索」からPDFの本文をダウンロードして確認したところ、伊東英子が「少女倶楽部」という雑誌に童話を書いていたことがわかった。

 

ここまでで、伊東英子が「處女地」以外に「赤い鳥」、「内外時論」、「少女倶楽部」に作品を発表していたことがわかった。

なるほど、文献を探すといろいろわかるものだなぁ。伊東英子の没年はまだわからないけど。

(つづく)

※1 裏技。GoogleブックスからPDF版がダウンロード可能な場合、ダウンロードしたものを自分でOCRソフトにかけたほうが、Googleブックスのスキャン結果よりましな情報が得られることが多い。今回の場合、この方法で日記の中から「伊東英子」「英子氏」「伊東夫人」など13件見つけることができた。

※2 もしかしたら、執筆者索引のほうに不備があるのかもしれないけど、雑誌そのものをチェックしたわけではないので不明。


3 Comments »

  1. おかもと さま

    はじめまして。
    伊東英子の没年調査ですが、私が仙台出張の際に
    仙台市役所の方に戸籍調査をお願いしましたが、
    当時の住所からは特定できなかったと記憶しています。
    すでに、うろ覚えなんですが、、。m(_ _;m
    文献から見つかると良いですね。

    Comment by 小林徹 — 2012年8月12日 @ 10:35 AM
  2. >小林様

    「伊東」英子ですが、これは結婚後の姓であることがわかっています。
    このあたりについては、次回をおたのしみ(?)に。

    Comment by おかもと — 2012年8月12日 @ 11:22 AM
  3. >おかもと様

    「伊東」は結婚後の姓でしたか!
    名前の「英子」と住所「仙臺市光禅寺通り」で、
    見つかるかどうか?

    Comment by 小林徹 — 2012年8月12日 @ 2:51 PM

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