引き算レシピ12 塩をつける
72

カテゴリー:青空文庫 | 投稿者:八巻 美恵 | 投稿日:2012年12月22日 |

食べようと手に持っただけで、すでにすっぱい。すぼまった口の中には唾液が充満してくる。梅干ではありません、夏みかんです。

十代に達するまでにまだ二、三年はあったあのころ、夏みかんが好物だった。いまなら「超」とつけたいほどの強い酸味に少しの苦さ。小皿に盛った塩をたっぷりとなすりつけて一個まるまるをひとりで食べ終わるころには、塩と酸の作用によって唇は真っ白にふくれあがり歯はギシギシになる。でも少女の想像上の麻薬の効果のように全身は爽快となる。
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青空文庫’12/10月-’12/11月の月間アクセス増分析
70

カテゴリー:電子書籍,青空文庫 | 投稿者:POKEPEEK2011 | 投稿日:2012年12月8日 |

青空文庫のアクセスランキング500はXHTML版とテキスト版との2つのカテゴリーで掲載されている。総合的な順位を知ろうとすれば、合算して、順位を出せば良いのだろうが、XHTML版とテキスト版とでは、ランクインしている作品はずいぶん異なっている。ちょっと計算してみたら、その異なり度は43%と出た。その異なり具合を簡単に見せることはできそうにないが、その一端を今月は新しい表として付け加えた。Wordpressで自分なりの表組みができるようになったからと言って、表だらけの記事になってしまっているが、筆者が表からコメントできることは少ないので、読者自身がそれぞれの知識・興味から、表から読み取れることを読み取って欲しい。それをコメントとして、投げかけてくれれば、この記事もより面白くなるだろう。
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『文豪ストレイドッグス』×青空文庫 勝手に応援#1
69

カテゴリー:,青空文庫 | 投稿者:OKUBO Yu | 投稿日:2012年12月3日 |

本日もしくは明日あたり発売のマンガ雑誌「月刊ヤングエース」1月号(角川書店刊)にて、『文豪ストレイドッグス』(原作:朝霧カフカ/作画:春河35)というマンガが新連載になりました。動画サイト「ニコニコ動画」にて『ゆっくり妖夢と本当はこわいクトゥルフ神話』というシリーズを投稿して一躍大人気、注目されている新進気鋭のクリエイター朝霧カフカ、期待の商業デビュー作品です。実は私個人は朝霧くんとひょんなことからちょっとしたご縁があるのですが、今回はそういうことが理由ではなく、普段青空文庫/aozorablogをお楽しみのみなさまにもきっとご興味を持っていただけるのではないかと思い、勝手にご紹介・応援しようと記事を立ててみました。

【※注意 ここから先、作品の設定・登場人物についてちょっとしたネタバレがあります】

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引き算レシピ11 かつおの皮
68

カテゴリー:青空文庫 | 投稿者:八巻 美恵 | 投稿日:2012年11月30日 |

ある初夏に友人が作る彼の母親直伝のかつおのたたきをごちそうになったことがある。かつおの刺身を大きな皿の真ん中に並べて、その上から、きうり、ねぎ、しょうが、にんにく、みょうが、しそ、などを細切りにした青い薬味を山ほどかけて、最後にしゃもじでその山を叩いて形を整えたら、摘みたての木の芽をのせる。それが彼の家の「たたき」の流儀だという。青くきれいな薬味の山の上からポン酢をかけて、食べる。青い味がかつおとなじんでさっぱりとおいしかった。
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青空文庫’12/09月-’12/10月の月間アクセス増分析
67

カテゴリー:電子書籍,青空文庫 | 投稿者:POKEPEEK2011 | 投稿日:2012年11月17日 |

10月度は、それと分かる原因でアクセス増率のランキング上位に入る作品が珍しく多いようです。リストができあがるまで、認識していませんでしたので、こんなことが分かるというのがちょっぴり楽しい気分です。アクセス増率のランキング分析は、断層写真の1枚の画像のようで、本当の傾向を知るには、断層写真を連続的に見る必要があるように、推移についてのなにかの技法が必要と思われます。出版業界や音楽業界には、そのような分析方法を駆使しておられる方たちがおられるでしょうか。
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引き算レシピ10 お茶
65

カテゴリー:青空文庫 | 投稿者:八巻 美恵 | 投稿日:2012年11月4日 |

小学校に入ったばかりの私を父が撮影した写真が何枚かある。そのなかの一枚に固定された私は茶の間のこたつに入り、自分専用の湯呑みでお茶を飲んでいる。祖母から母へと伝わったお茶好きをすんなりと受け継いでいるのだ。子供たちにも年に何度か、ふだんのものとは根本的に違うおいしさのお茶をいれてもらえることがあった。新茶だったのか、玉露だったのか、玉露の新茶だったこともありうる。

普通の人は茶を飲むものと心得ているが、あれは間違だ。舌頭《ぜっとう》へぽたりと載《の》せて、清いものが四方へ散れば咽喉《のど》へ下《くだ》るべき液はほとんどない。ただ馥郁《ふくいく》たる匂《におい》が食道から胃のなかへ沁《し》み渡るのみである。歯を用いるは卑《いや》しい。水はあまりに軽い。玉露《ぎょくろ》に至っては濃《こまや》かなる事、淡水《たんすい》の境《きょう》を脱して、顎《あご》を疲らすほどの硬《かた》さを知らず。結構な飲料である。眠られぬと訴うるものあらば、眠らぬも、茶を用いよと勧めたい。
「草枕」夏目漱石

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引き算レシピ9 山葵
63

カテゴリー:青空文庫 | 投稿者:八巻 美恵 | 投稿日:2012年10月25日 |

好きなものは、と訊かれたら、些の躊躇なしに、旅と酒と本、と私は答える。
種田山頭火「雑記」

あまりにもそのものずばりな、好きなもの。どう考えても反論はできません。

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もうひとつの「リフローは難しい」、あるいは期待するリフロー その4
61

カテゴリー:WEB,電子書籍,青空文庫 | 投稿者:POKEPEEK2011 | 投稿日:2012年10月7日 |

前回の《もうひとつの「リフローは難しい」、あるいは期待するリフロー その3》で提唱した新しい注記、「地から◯字で開始、地から●字で折り返し」は不採用ということになった。相当するCSSを探してみました見つかりませんし、入力者・校正者にも分かりにくい注記であることは確かなので、納得できることです。

その代わりに浮かび上がった[#整形済み](仮名称:HTMLの<pre>タグに相当)については、そのメリット・デメリット、テキストの入力者・校正者がピンとくるものかどうかが不明ということで、要検討段階に留まっています。

[#整形済み]注記が有効となるのは、「地からの字上げがブロック(数行)ある場合」で、これは『もうひとつの「リフローは難しい」、あるいは期待するリフロー』シリーズの2大テーマの一つです(もうひとつのテーマは「天からの字下げが大きい場合」です)。

私には[#整形済み]注記はメリットが大きいものと思えます。そう思うようになったきっかけ、浮かび上がった問題点などを説明し、XHTMLでのCSS開発者、青空文庫ビューアの開発者の皆さん、テキストの入力者・校正者の皆さんの検討の材料にしていただきたいと思います。
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引き算レシピ8 きゃべつのおかゆ
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カテゴリー:青空文庫 | 投稿者:八巻 美恵 | 投稿日:2012年9月16日 |

野菜をゆでて食べるなら、まず歯ごたえよく、さらに色よく仕上げたいと思う。だから、頃合いをみはからって短時間でお湯から引き上げる。というのが常だった。しかしイタリアには野菜をほとんど歯ごたえのなくなるまでゆでたり蒸したりする食べかたがあるらしいことを本で知り、「ゆでカリフラワー」なるものを半信半疑でやってみた。

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もうひとつの「リフローは難しい」、あるいは期待するリフロー その3
57

カテゴリー:電子書籍,青空文庫 | 投稿者:POKEPEEK2011 | 投稿日:2012年9月9日 |

新しい注記、「地から◯字で開始、地から●字で折り返し」を提唱したい。ということで、まず複数行の文章の現状の「地から○字上げ」の処理が、各種青空文庫ビューアで様々に処理されていること、それぞれに難点があることを示しておきます。その上で、「地から◯字で開始、地から●字で折り返し」をシミュレーションを提示し、この新しい注記の採用を提唱したいと思います。

8月18日の投稿『もうひとつの「リフローは難しい」、あるいは期待するリフロー』では、青空文庫のポー「盗まれた手紙」(佐々木直次郎訳)の扉のエピグラムの各種青空文庫ビューアでの見え方を次の3つに分類されると説明していました。 (more…)


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