五月も半ば
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カテゴリー:未分類 | 投稿者:ten | 投稿日:2012年5月18日 |

 田んぼの水面に鳥影が走る。はっとして空を見上げると鳥は見えなかったが、一箇所白い雲が丸く抜け落ちていた。五月も半ばのいつもの風景の中、私はバスを一人待つ。
 平日の昼のバスは、乗客も少ない。ゆったりと揺られ、見慣れた景色が後ろへと流れる。ぼんやりとした時間が十五分も経つと繁華街へ着く。
 気温が二十度を越すと言っていたテレビの天気予報士の顔が浮かんだ。ブラウスではなく襟なしのものを着てくればよかったと少し後悔した。汗を拭いて、デパートへ入っても涼しくはない。
 手際よく買い物を済ましてアーケード街へ出た。車での生活が主となり、郊外の大型店は繁盛し、古いタイプの繁華街は、人もまばら。両側あわせて三十件ほどの店舗には、「貸し店舗」の張り紙や、「閉店セール」の赤い紙が目に付く。いくつも細い通りがあるのだが、そこもまた同じだろう。

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校正をやりやすくする為に
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カテゴリー:未分類 | 投稿者:Horash Qudita | 投稿日:2012年5月16日 |

校正に手が出しにくい理由の一つとして、間違いを拾いきれる自信がない、ということがあげられる。そうでなくとも、文字を間違いを拾うには訓練が必要と思われているようでもある。そんな懸念をなくす、または減らす為に、一つ機械を使った校正の方法を紹介したい。 (more…)


『旅芸人の記録』と私。
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カテゴリー:未分類 | 投稿者:uematsu | 投稿日:2012年5月6日 |

早稲田松竹でテオ・アンゲロプロス監督の追悼上映が行われている。5月5日から1週間は『旅芸人の記録』。早速、観に行く。一人で一番前の席に腰をかけて、画面に見入る。初めてこの映画を見たのは高校生の頃。キネマ旬報に書いてあった数十年に1本の傑作という言葉に惹かれて観に行った。
わからなかった。ギリシャのことも世界の歴史についても疎かった私にはストーリーも、アンゲロプロスが伝えたいこともわからず、なんどもウトウトとしながら必死で4時間耐えていた。
見終わって、あまりのわからなさに、もう一度続けてみた。当時は指定席入れ替え制ではなかったので、そういう見方が出来た。というわけで、もう一度見た。また分からなかった。眠るとか眠らないとかいう以前に、この作品を理解するだけの下地がないのだと思い知らされた。
あれから30年以上。やっとスクリーンで再会した『旅芸人の記録』はとても面白い映画だった。この映画が面白いといと感じられただけで、「ああ、少しは成長したのか」と思うことが出来た。不思議だったのは、主要な登場人物がときおりカメラ目線で語るというカットをすっかり忘れていたこと。そうか、そういうこともやる人だったのか、アンゲロプロス。とこれまた嬉しくなった。


「月」にまつわるお話
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カテゴリー:未分類 | 投稿者:Horash Qudita | 投稿日: |

今晩は、月が大きいそうで。青空文庫で「月」に関する文章を探してみよう。簡単なのは「日本の名随筆58 月」から拾う事。
岩本素白「六日月」
上田敏「月」
大町桂月「月譜」
折口信夫「日本美」
川端芽舎「夏の月」
北原白秋「お月さまいくつ」
小島烏水「霧の不二、月の不二」
薄田泣菫「無学なお月様」
徳冨蘆花「良夜花月の夜
永井荷風「町中の月」
樋口一葉「月の夜」
與謝野晶子「月二夜」
和辻哲郎「月夜の東大寺南大門」

他に「月」が印象に残っているのは、泉鏡花「歌行灯」。場面場面にちらっと登場していて、まるで全てを見守っているようだった。
皆さんは、何か「月」が印象に残った文章がありますか?


ベートーヴェンの生涯
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カテゴリー:未分類 | 投稿者:Horash Qudita | 投稿日:2012年5月1日 |

ロマン・ロランの「ベートーヴェンの生涯」が公開された。本文で言及されているベートーヴェンの楽曲は以下のサイトでほとんど聞く事が出来る。

http://classicalmusicmp3freedownload.com/ja/index.php?title=ベートーヴェン

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怪談いろいろ
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カテゴリー:未分類 | 投稿者:Horash Qudita | 投稿日:2012年4月30日 |

怪談の名作は古典に多い。つまり、青空文庫収録のものが多いことになる。暑くなるにはもう少し間があるけれど、怪談というもののレビューとともに“怪談”そのものを少し考えてみる。
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久生十蘭という作家
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カテゴリー:未分類 | 投稿者:Horash Qudita | 投稿日: |

有名なのは「顎十郎捕物帳」「キャラコさん」のあたりだろう。「顎十郎捕物帳」(24本の短編からなる)は時代劇ながら本格推理を味わえる珍しい作品群。「キャラコさん」に出て来るキャラクターは、太平洋戦争間近の世相にあって、生き生きとしていて、そして力強い。
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魯山人は天才か?
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カテゴリー:未分類 | 投稿者:Horash Qudita | 投稿日: |

 魯山人の書いたものを入力していると、どうもこの人、多彩な才能を持って生まれてきた人らしく、ほぼ独学で、いろいろなことを極めているようである。ただ、文章はそれほどのものでもなく(残念ながら)、またきちんと下調べをしないので、うっかりミスをすることもあるようだ。
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魯山人と「美味しんぼ」
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カテゴリー:未分類 | 投稿者:Horash Qudita | 投稿日: |

「美味しんぼ」の中のキャラクター、海原雄山は、北大路魯山人の孫弟子として、設定されている。「美味しんぼ」は、雑誌連載当時、単行本3巻くらいまでをよく読んだ。ので、内容というネタをよく覚えている。その上で、北大路魯山人の入力をしていると、原作者は北大路魯山人からネタを拾っていたんだな、と思った。
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