今年の話
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カテゴリー:未分類 | 投稿者:ten | 投稿日:2014年12月31日 |

 好きな詩人山之口獏で今年の幕をあけた青空文庫。獏さんの「詩とはなにか」を読み懐かしさでお腹が一杯になりながらも、当然別腹と、おせち料理を口にした私である。一年の計も何もないずぼらな私には、思いもよらない一年となった。その思いもよらない一年を漢字一文字のたとえると「会」

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クリスマスの夜の話
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カテゴリー:未分類 | 投稿者:ten | 投稿日:2013年12月24日 |

 今朝ネットニュースを読んでいたら、面白い記事に当たった。「天使に翼はない カトリック天使学者の話 」

ラバトーリ神父は天使の「再流行」のためには一般的に広まった天使のイメージは必要だったと認めるものの、クリスマスシーズンに天使のイメージがちまたにあふれかえることには否定的だ。「ある程度は容認できるとしても、あれは真の天使の姿ではないことを知っておくべきだ。天使は翼をもっていないし子どもでもない」

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富田さんの話
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カテゴリー:未分類 | 投稿者:ten | 投稿日:2013年8月24日 |

 私が、富田さんと初めてお会いしたのは、今から十年以上前の青空文庫のオフ会だった。「オフ会」というもの珍しさに惹かれ、新橋までやってきた田舎者の私は、道に迷いミーティングに遅刻した。遅刻者の常で、ドアを開けると一斉に二十数人の視線を浴びた。私は、どぎまぎして空いた席を見渡したが、どこに座ったらいいのかと迷う必要はなかった。席は一つしか残っていなかったのだから。残り物に福があるはずである。確かに、福だった? 富田さんの隣だったのだから。

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桜の樹の下の話
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カテゴリー:未分類 | 投稿者:ten | 投稿日:2013年4月12日 |

 桜の樹の下には屍体が埋まっていると書いたのは、梶井基次郎である。

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雪国の話
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カテゴリー:未分類 | 投稿者:ten | 投稿日:2013年1月16日 |

 東京の学生となって初めての冬、沖縄出身の同級生たちが、「生まれて初めて雪をみた」と感動していた。そんな彼女たちを見て、雪国出身者の私たちは感動した。

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炬燵の話
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カテゴリー:未分類 | 投稿者:ten | 投稿日:2012年12月11日 |

 どんなに寒くても我が家は、炬燵をしないことにしている。なぜなら、炬燵とは、この上ない快楽をむさぼらせてくれるものなので、自己に甘く、他に厳しい我が家のメンバーの大敵である。誰一人動かなくなる。

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酒の話
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カテゴリー:未分類 | 投稿者:ten | 投稿日:2012年10月25日 |

 八巻さんが山頭火の酒を取り上げていらっしゃる。確か山頭火は酔っ払って、市内電車を止めたという逸話の持ち主だったように記憶する。その明治15年、山口県に生を受けた山頭火より三年遅れ宮崎県で生を受けたのは、歌人の若山牧水。青空文庫収録作家の中で一番の酒豪に違いない。アルコール性の肝硬変で亡くなったというのだから筋金入りの酒飲みである。酒飲みの常で、しらふの牧水は切々と自己を省みる。

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五月も半ば
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カテゴリー:未分類 | 投稿者:ten | 投稿日:2012年5月18日 |

 田んぼの水面に鳥影が走る。はっとして空を見上げると鳥は見えなかったが、一箇所白い雲が丸く抜け落ちていた。五月も半ばのいつもの風景の中、私はバスを一人待つ。
 平日の昼のバスは、乗客も少ない。ゆったりと揺られ、見慣れた景色が後ろへと流れる。ぼんやりとした時間が十五分も経つと繁華街へ着く。
 気温が二十度を越すと言っていたテレビの天気予報士の顔が浮かんだ。ブラウスではなく襟なしのものを着てくればよかったと少し後悔した。汗を拭いて、デパートへ入っても涼しくはない。
 手際よく買い物を済ましてアーケード街へ出た。車での生活が主となり、郊外の大型店は繁盛し、古いタイプの繁華街は、人もまばら。両側あわせて三十件ほどの店舗には、「貸し店舗」の張り紙や、「閉店セール」の赤い紙が目に付く。いくつも細い通りがあるのだが、そこもまた同じだろう。

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春の雪
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カテゴリー:青空文庫 | 投稿者:ten | 投稿日:2012年3月14日 |

 三月半ば、街の中心を流れる川の土手。大雪はすっかり天に帰ってしまった。帰り損ねたものは、まだまだ咲きそうにもない桜の根にこんもりと固まっている。人は、花の方を待つのだが、その油断への戒めか、雪が降り始めた。不ぞろいの雪は川の流れに取り込まれていく。しかし春の雪というものは、一心不乱に降ったかとおもうと、急に止むもの。だからほとんど積もることはない。その気まぐれに振り回され、人は、再びコートの襟を立て足早に歩く。

 とはいえ、淡い灰色の隙間からみえるのは青い空、土手のこげ茶色の温い道がまっすぐと伸びている。

 

青柳にふりけされけり春の雪
「寒山落木 第一」 正岡子規より


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