著作権の保護期間の例外なき延長に反対する
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カテゴリー:青空文庫 | 投稿者:AOZORA TPP問題 | 投稿日:2014年12月27日 |
執筆者:藤田稔

私は、青空文庫の工作員もしておりますが、今回は実名で発言をさせていただきます。

青空文庫では、著作権の保護期間の延長に反対しており、私も延長には基本的に反対です。しかしながら、TPPの交渉結果では、延長される可能性も高いものと思います。そこで、青空文庫の趣旨を生かし発展させる為に、より現実的で広範な支持を集めやすい提言を行うことを提唱いたします。

私は、週刊金曜日の2014年11月21日号の投書欄に次の提言を発表しました。
(出版社に配慮して、雑誌の公刊後、1か月は重ねての発言を控えておりました。)

著作権の保護期間の例外なき延長に反対する

著作権の存続期間を著作者の死後50年から70年に延長することが、TPPの交渉事項になっており、議論を呼んでいる。私は存続期間の延長には反対であるが、百歩譲って延長自体は認めるとしても、その効果を以下に述べるように制限すべきであると考える。

延長を主張している者は、著作権の財産的価値を維持する為にコストをかけてきた者であろう。彼らは著作権を延長後にも主張していくであろう。ところが、そういった著作物の数は著作物全体の中で大きくはない。多くの著作物は公刊されていないし、公刊されても著作者の死後50年も経てば、多くは絶版・品切れの状態にある。さらに著作権の相続に際しては、相続すること自体が認識されていない結果、著作者の死後50年も経てば、多数の相続人の共有となっており、誰が著作権を相続しているか調査して著作物利用の許諾を得ることは不可能ないし莫大なコストがかかるものが大半であろう。こういった著作物の著作権者は、自分が著作権者であること自体、知らず、著作権行使など全く考えていないのが実情であろう。

こういった著作物でも著作権が消滅すれば、出版社が出版することもあるし、青空文庫のようなサイトで公開されることで、著作物が自由に広範に利用されることもあり、文化の発展に資するものとなっている。ところが著作権の存続期間の例外なき延長は、こういった著作物の利用まで、全て著作権侵害の烙印を押して抑圧するものであり、文化の発展を妨げるものと考える。

著作物の登録・公示制度を整備し、存続期間の延長の際には、登録・公示されない著作物の著作権は現行法の存続期間をもって消滅したとみなす措置を、法律で定めるべきであると考える。必要があれば国際条約でも交渉事項として提起すべきであろう。

いかがでしょうか。皆様のご意見をお伺いしたいと存じます。

2014年12月26日      藤田稔


青空文庫’14/10月-’14/11月の月間アクセス増率分析
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カテゴリー:電子書籍,青空文庫 | 投稿者:POKEPEEK2011 | 投稿日:2014年12月8日 |

10月の新規公開作品では、樋口一葉「たけくらべ」(新字旧仮名版)がXHTML版、テキスト版ともに1位であった。樋口一葉のほかの2作品「ゆく雲」「別れ霜」もXHTML版、テキスト版ともにランクインではあるが、その順位は異なる。XHTML版とテキスト版とで共通にランクインしているのは、13作品、約60%。共通でないのは、XHTML版でランクインの竹内浩三作品、テキスト版でランクインの北大路魯山人作品と薄田泣菫作品。

既存作品ではXHTML版とテキスト版の15作品のうち、共にランクインしているのはディケンズ「クリスマス・カロル」だけで、見事に分かれている。XHTML版がテレビ放送の影響を大きく受けているといえるが、この傾向がずっと続いてきたものかどうか、今月だけの傾向なのか、ちょっと分かりかねる。

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青空文庫’14/09月-’14/10月の月間アクセス増率分析
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カテゴリー:,電子書籍,青空文庫 | 投稿者:POKEPEEK2011 | 投稿日:2014年11月9日 |

10月の新規公開作品は46作品。そのうち、500位まで入った作品はXHTML版で12作品、テキスト版で19作品。XHTML版での12作品は、テキスト版にも入っており、7作品がテキスト版だけのランクインである。新規公開作品のランクインは毎月、テキスト版の作品の方が多く、XHTML版のランクイン作品はテキスト版でもランクインしているようである。

XHTML版の1位は中原中也「宮沢賢治全集」、テキスト版の1位は吉川英治の「剣の四君子 05 小野忠明」。中原中也「宮沢賢治全集」からは、賢治を生前に知っていた中原中也が、その作品の素晴らしさをはっきりと掴んでいたことが分かる。テキスト版では2位、3位も「剣の四君子」シリーズで、2位が「剣の四君子 03 林崎甚助」、3位が「剣の四君子 04 高橋泥舟」だが、残念ながら、どの剣豪のことも知らない人たちである。

既存作品ではXHTML版とテキスト版の15作品のうち、共にランクインしているのはオー・ヘンリー「罪と覚悟」、新美南吉「ごん狐」「手袋を買いに」だけであった。オー・ヘンリー「罪と覚悟」は10/14放映のTV番組でに林修先生のおすすめの作家とその作品としてオー・ヘンリー「罪と覚悟(よみがえった改心)」があげられていたことによる。新美南吉「ごん狐」は2014年10月11日(土)放映の「世界一受けたい授業」での「教育者に聞いた日本の名作ベスト50」にあげられていたからだろう。「桃太郎」もベスト50のうちに入っていたので、もしかしたら坂口安吾の「桃太郎」のアクセス増もこのせいだったかもしれない。

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豊島の青空文庫
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カテゴリー:青空文庫 | 投稿者:ag | 投稿日:2014年10月21日 |

青空文庫に作品を登録する過程で、青空文庫の運営側にもその作品の底本を入手する必要ができてしまった。もっとわりきった作業の流れにしてしまえば、このリアルな紙の本を青空文庫側で入手する必要を極力避けることが出来たような気もするけど、富田さんはそのようないい加減なことはしなかった。しっかりと青空文庫側で点検する作業を怠らなかったのだ。だから、富田さんや他の受付担当者の家の本棚には青空文庫で使った本がどんどんと溜まってしまった。

昨年の夏、富田さんが亡くなった時、これらの本をどうしようかと言う話しになった。ごく普通に考えれば、トランクルームやレンタルスペースに預ける選択肢を選ぶと思う。実際にそのような考えに傾きつつあったところ、瀬戸内海の豊島(てしま)に住むサウダージ・ブックスの浅野さんが本を引き取ってくれることを申し出てくれたのだ。
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青空文庫’14/08月-’14/09月の月間アクセス増率分析
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カテゴリー:,電子書籍,青空文庫 | 投稿者:POKEPEEK2011 | 投稿日:2014年10月6日 |

新規公開作品ではXHTML版、テキスト版ともに、ポー「マリー・ロジェエの怪事件」と吉川英治の「剣の四君子」シリーズ、「日本名婦伝」シリーズが上位を占めている。下の表では、各行の色付けを著者ごとにするように変えてみた。特徴がより見やすくなっただろうか。

既存作品ではXHTML版とテキスト版の15作品のうち、共にランクインしているのは、坂口安吾「二流の人」だけであり、ランキング内容はまるっきり異なっている。この違いはどこから来るのか、相変わらず分析できないでいる。

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校正の楽しみ
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カテゴリー:,電子書籍,青空文庫 | 投稿者:AOZORA TPP問題 | 投稿日: |
執筆者:雪森

青空文庫の一読者だった私が、校正をするようになったのは、富田倫生さんが週刊エコノミストで、未校正の作品が溜まっていると話されているのを読んだからです。もうじき2年になります。やり始めて感じたのは、校正をすれば、その作品は早晩公開されます。誰かが校正してくれるまではいつまでも公開されない入力作業よりやりがいがあるということでした。 (more…)


青空文庫’14/07月-’14/08月の月間アクセス増率分析
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カテゴリー:,電子書籍,青空文庫 | 投稿者:POKEPEEK2011 | 投稿日:2014年9月10日 |

今月も、アクセスランキングの500位まで月間アクセス数合計がXHTML版で増加、テキスト版で減少という対称的な動きが続いた。

新規公開作品では、ルナール「にんじん」がXHTML版、テキストバン共に1位。

既存作品ではXHTML版とテキスト版とは、リストがほとんど重ならないのだが、唯一重なったのが新字旧仮名版と新字新仮名版の2つの芥川竜之介「蜜柑」。これはテレビ朝日「林修の今でしょ!講座」 林先生が厳選! 夏休みに読んで欲しい本」で宮沢賢治「注文の多い料理店」と共に勧めていた作品。林先生は物語に出てくる色調に注目して解説していた。

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青空文庫’14/06月-’14/07月の月間アクセス増率分析
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カテゴリー:,電子書籍,青空文庫 | 投稿者:POKEPEEK2011 | 投稿日:2014年8月11日 |

アクセスランキングの500位まで月間アクセス数合計がXHTML版で増加、テキスト版で減少という対称的な動きは、今月も続いた。新規公開作品数では野村胡堂「銭形平次捕物控」シリーズの公開が減少し、地味な作家・作品の公開が続くなかで、火野葦平「糞尿譚」の公開が目を引く。

既存作品のアクセス増率ランキングではXHTML版1位の長谷川時雨「柳原燁子《白蓮》」に注目。NHK連続テレビ小説「花子とアン」での仲間由紀恵演じる蓮子《白蓮》の絶縁状や、歌集『踏絵』中の短歌も読める。作者の長谷川時雨については、女性だと知らなかった。「花子とアン」の醍醐さんが蓮子のことを書いているので、醍醐さんのモデルは長谷川時雨かと思ったが、それは違った。「柳原燁子《白蓮》」は『近代美人伝』の中の1編、青空文庫では他に「樋口一葉」、「マダム貞奴」、「松井須磨子」などが読める。

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青空文庫’14/05月-’14/06月の月間アクセス増率分析
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カテゴリー:,電子書籍,青空文庫 | 投稿者:POKEPEEK2011 | 投稿日:2014年7月6日 |

アクセスランキングの500位まで月間アクセス数合計がXHTML版で増加、テキスト版で減少という対称的な動きを見せているなかで、新規公開作品数がXHTML版は16作品、テキスト版は35作品と2倍ほど異なる。

既存作品のアクセス増率ランキングではXHTML版とテキスト版ともに黒岩涙香「幽霊塔」が1位。今まで目にしたことのない作品なのだが、Googleで検索してみると乃木坂太郎のマンガ「幽麗塔」がヒットしていることの影響のようだ。ビックコミックスペリオールでの連載開始は2011年とかなり前だが、今回のヒットは電子書籍版が「ソク読み」http://sokuyomi.jp/product/yuureitou_001/CO/1 で試し読みできるようになったからのようだ。

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著作権保護期間延長の動きに対する青空文庫としての対応、2013年まで(クロニクル風)
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カテゴリー:,電子書籍,青空文庫 | 投稿者:AOZORA TPP問題 | 投稿日:2014年6月2日 |
執筆者:Juki

著作権保護期間延長の動きに対して、青空文庫は主に反対の立場から三つの活動を行なってきました。それは「パブリックコメントの提出」と「署名活動」、そして「他団体との連携」です。青空文庫呼びかけ人の富田倫生さんは、主な推進役として昨年まで活動を担ってこられました。
2014年5月27日掲載の「そらもよう」記事「著作権保護期間延長の動きに対する青空文庫としての対応、2013年まで」では、三つの活動毎に動きをまとめました。
ここでは、「そらもよう」や他サイトの記事を道しるべにして、時間の経過に沿って短く記述していきます。

ただし、情報元の一つだった掲示板「みずたまり」「こもれび」は既に終了し、ログを見る事が出来なくなりました。もしかしたら、筆者が見落としている情報が載っていたかもしれません。ご存知の方がいらっしゃいましたら、コメント欄にてご指摘いただけると幸いです。

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